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世のうちそと

 芭蕉を越えた食べもの?

芭蕉を越えた食べものか?「つわもの巻」考察

 仙台駅構内の寿司屋通りに「あさひ寿司」はある。威勢の良い「いらっしゃい」の声に誘われて旅人3人はカウンターに腰を落ち着ける。とても賑わっている。

ビールを舐めながら、店内を見渡すと品書きが横に。中に「けむり巻き」、210円が目に飛び込んできた。のり巻きごと炙って、煙が上がるといったたのしいものがでてくるのであろうか。もう一つ。「つわもの巻」520円も気を引く。これはどんなものか。早速に注文。ほかの2人は、サービスセット2000円を注文して、「うまい」「うまいね」といいながら食べている。

当方のブツはなかなかこない。それだけに、否が応でも期待は高まる。2人は食べ終わり、茶を飲んでいる。思い余って、若い女性店員に催促する。注文がなされていなかった。「けむり」も「つわもの」もないがしろにされていた。人気寿司だねではないのか。

ようやく待ちに待ったものは、皿に並んだ。まず「けむり巻き」。期待を込めてかぶりつく。「?」中身は味付けメカブ。小さく刻んで、とろりとしてだらしがない噛みごたえだ。色は黒い、煙色と言えないことはない。メカブは太平洋岸が美味しいという。たしかに日本海側ではそれほど聞かない素材だ。それにしても、食した印象は、どこが「けむり」なのか、ケムに巻かれた気持ちになった。

そこで「つわもの巻き」に期待を賭ける。「けむり」より値段も張る。「つわもの」は「兵」か。板場に聞けばわかることだが、実に忙しそうなので遠慮する。推量するしかない。ここは東北第一の都市、かつて松尾芭蕉の紀行で知られるみちのくの途上にある。となれば、有名な一句が思い浮かぶ。

夏草や兵どもが夢の跡

夏草の野性味と熱気、辺境の地の兵の気概と自負、不遇に滅びたものへの克明な同情こそ、芭蕉を動かした詩心であった。義経を自害させよとの頼朝の義経追討逸話、平泉の藤原氏の三代にわたる顛末は人の栄華のはかなさを誘ってあまりある。

そんな歴史を秘めた「つわもの巻き」なのだろうか。ならば、海のマグロのトロと陸の芋のトロロの最強コンビに強者ツワモノを込めたか。とすれば、「兵」でいいはず。でも疑問は残る。

句は、平泉が舞台だ。今の岩手県である。仙台なら、塩竈、松島の宮城県ではないか。芭蕉もこの地では、忠孝の武士、和泉の三郎こと藤原忠衛を敬慕している。他県の句を使うことはおかしいから、つわものには、深い意味はないのか。追及は栓なしか。

そうであっても、夏草の生い茂る熱気ムンムンの兵たちの情景が思い浮かぶ。つまりこの巻き物を食すと「元気出るよ」、といったメッセージなのか。となれば芭蕉の句の解釈も変わって来る。

俳聖芭蕉の句の解釈をおびやかそうとするとは。なんて罪な「つわもの巻き」であろうか。肝心の旨いかどうかも判然としないうちに急かされて席を立ったのである。

( 2010/03/15 )

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