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 白川義員「世界百名瀑」壮大、荘厳、、神秘さに自然の崇高さ
「世界百名瀑」の撮影がスタートしたのは南米から。2002年11月のこと。1年余、3度出かけて南米大陸全域の撮影を完了した。
翌2004年は、2回7ヵ月かけ北米大陸全域の撮影完了。2005年は2度7ヵ月をアフリカ、秋の2ヵ月を日本で撮る。
2006年は5ヵ月をオセアニア、3ヵ月をヨーロッパ、3ヵ月をアジア、3ヵ月を日本。ここで予定の6大陸全域の名ばく撮影は終了した。
2007年に入っても1月ビクトリア滝の4回目撮影、4月ヨセミテ滝再撮影、5月には前年発見されたペルー奥地のゴクタ滝を撮影、6月、日本の称名の滝の4回目の撮影で満5年間に及んだ世界百瀑撮影はすべて終了した。大変な執念だ。
作品集出版と合わせ、大阪を皮切りに、仙台展を終えて8月、東京・松屋銀座店で写真展が開かれている。
昭和10年生まれ。だから70を越えているはずだが、たいへんお若いのに驚く。受付の女性が「いま本人が会場にお見えになっているから」と勧められ、本にサインをいただいた。若いというだけでなくすっきりとスーツを着こなし紳士然としている。カメラマンのイメージを覆された。
「世界百名瀑」を宣する以上その謂われがあるはずだ。自ら選考委員長となりきちんとした基準がある。
1・壮大、荘厳で、品性、格調ともに高いこと。
2・独自の造形や風格を持つこと。
3・敬謙な信仰の対象になっている滝を優先。
4・上記の条件を満たすなら高さは問わない。
5・探検史上有名な滝も対象とする。
6・年間5ヵ月間以上滝としての景観を保持していること。
滝マニアには世界の名爆リストを25000滝をファイルしているプロもいるほどだから、あえて100を選ぶことの大変さは想像にかたくない。
当初推薦された滝は205滝にのぼった。白川氏は180を超える滝を実際に踏査し、152滝を撮影、水のない滝などを外し結局100滝に絞ったのである。
外された滝は、かつては名瀑ではあっても、ダム建設で水を奪われたもの、治安の悪化で観光客が寄り付かなくなり、滝見の施設が老朽化しているなど人為的な要因により選外となった名瀑も散見される。
いずれ選ばれた百名瀑もリストから消え去る運命が待っているかも知れない。
白川さんは怒りを込めて告発している。世界遺産的自然景観が人間の手で破壊されることに怒りを禁じ得ないのであろう。取材紀行記に「自然の崇高さと人間の愚かしさを見た」とタイトルをかざしているのはそのことを指している。
本展中の圧巻はまず、ヴィクトリアの滝。落差は107�辰靴�ないが幅は西のジンバブエから東のザンビアまで国境を越えて1737�地△覆襦�「黎明」「月光の虹」「日の出」「混沌」「激浪落下」「満月の虹」「滝から昇る月と星」と荘厳としかいいようのない12作だ。
次にイグアス滝。ブラジルとアルゼンチンにまたがる総延長2700�辰寮こ�最大の滝。「悪魔の喉笛」はすごいの一言に尽きる。月光に映る虹とともに壮大さに満ちた9作である。
これらの巨大滝に比べると日本の滝は繊細である。が、季節の彩りも加えてまったく異なる表情も見られ、神々しさで引けをとらない。同朋にはうれしい10作品である。
( 2007/08/15 )
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